柳楽優弥さん主演の映画
「夏目アラタの結婚」を観たので、
ネタバレありで感想を書いていこうと
思います。笑
まず、これを見ようと思ったのは、
柳楽さんと黒島結菜さんのお芝居を
見たいな、というのが1番です。
柳楽さんは流石ですね。
元々はグレていたけど今は児相で
働いている、という役なんですが、
完全に役になり切っていました。
それと、黒島さんですよ。
清純派のイメージがある黒島さんが
殺人鬼役ということで
楽しみに観に行ったのですが、
期待通りでしたね。
狂気と、その中にある愛おしさ。
素晴らしいお芝居でした。
ただ、映画全体としては、
ちょっとよくわからない部分もあって、
物足りない感じでした。
黒島さん演じる殺人鬼
「品川真珠」による
バラバラ殺人事件が起きて、
被害者の男性の頭部が
まだ見つかっていない、と。
そこで、被害者の息子の
「父ちゃんの首を見つけて欲しい」という
思いに応えて、柳楽さん演じる児相職員の
「夏目アラタ」は、
その目的を伏せながら、
真珠との面会を重ねていくわけです。
最初は真珠の心を解していって
いずれは首の在処を聞き出そう、という
目的があるんだけど、
途中からアラタは、真珠を人間として
愛するようになっていく。
その気持ちの変化を、もう少し丁寧に
描いて欲しかったなぁ、と
個人的には思いましたね。
なんか、どのタイミングから真珠に
人間味を感じるようになったのか、が
よくわからなくて、
あまり真珠に対するアラタの気持ちが
描かれないまま
話がどんどん展開していく感じが
しました。
それと、中川大志さんが、
真珠の弁護人を演じているのですが、
「あんな暑苦しい弁護人
いるわけねぇだろ」って思って、
自分はちょっと、
見ていて冷めましたね。笑
原作であの弁護人が
どんなキャラか知らないので
何とも言えないんですけど、
あそこに中川大志さんという
キャスティングが本当に
正しいのかな?というのは
思いましたね。
真珠を無罪だと信じて
頑張っている弁護人なんですけど、
中川さんの暑い演技によって
なんか、胡散臭さが
出てしまっていました。
まぁ、全体として
回収されない伏線があったり、
アラタの心情が見えにくい中で
どんどん話が進んでいって、
随分雑な映画だな、というのは
あるんですが、最後の方は結構、
良かったですね。
最後、真珠がアラタに
「なんで児相で働こうと思ったの?」と
聞いたときに、アラタは
「可哀想な子を自分が助けたいと思った」
と答える。
しかし真珠はこの「可哀想」という
ワードに違和感を持つんですのね。
昔から「可哀想な子」という
見方をされることに対して
寂しさを感じていて、
「アラタは他の人と違うと思ったのに。
私をただの人殺しって見てくれると
思って信じてたのに!」ということを
言って、アラタは「見抜いていたのか…
ごめんな…」と心の中で呟く。
それで、結局「俺は本当は、可哀想な子を
助けたかったのではない。自分より
可哀想な人を見て安心したかっただけだ」と
気づくわけです。
ここのメッセージが、この映画が
1番伝えたかったことなのかな、と
思いました。
要は、不幸な人は優しい人のフリをして、
もっと不幸な人を捕まえて
“助けてあげる”ことによって、
本当は優越感に浸っている、というのは、
往々にしてありがちな話なんですよね。
この“助けてあげる”というのが、
一見優しい人に見えるんだけど
実はエゴでしかなくて、
繊細な心を持った人は
ちゃんとそのエゴを見抜いてしまう。
そういうところのメッセージが、
個人的に1番、響いたところです。
優しさにエゴが隠れている場合も
あるよ、というメッセージを
感じることができたというのと、
柳楽さん・黒島さんの素晴らしい演技を
見ることができたという点では
観て良かったなぁと思いました。