上本は広島出身で、
何かとカープに縁があるということも
あってか、2012年のドラフトで
カープに3位指名を受けました。
評価されたのは守備力。
内野守備が実に上手いですよね。
ルーキーイヤーにサードを守っていて、
折れたバットを飛び越えて打球を処理した
プレーが物凄く印象に残っています。
内野のスーパーサブがいたので、
なかなか上本に出番が回らないという状況。
ようやく上本が一軍の戦力に
なり始めたなぁというのが、
2017年あたりからですよね。
木村が退団して少し経ってからの
ことです。
緒方監督が、上本の
ムードメーカーとしての役割を
高く評価し、代走・守備・そして
声出し要員として、
常時一軍に置くようになった。
ただ、打撃の方では結果を残せず、
しばらくは控え選手に甘んじていました。
しかしここ数年、急激に打撃が
良くなって、スタメン出場の機会も
増えましたよね。
そういえば、栗山英樹さんが
日本ハム監督時代に出した著書の中に、
「守備が上手い選手は必ず打てるように
なる」という話が出てきます。
_守備がうまい選手は必ず打てるように
なる。これは僕の持論である。
特に脚が速くて、守備範囲の広い選手は
その可能性が高い。
ボールに対するアプローチは
守備だと「捕る」、打撃だと「打つ」と、
それぞれ異なる表現になるが、
これを「捉える」と言い換えると
どちらにも当てはまる。グラブを扱うか、
バットを扱うかの違いだけで、
ボールを捉えにいく感覚には共通する
ものがある。(中略)
うち(ファイターズ)で言えば、
中島卓也が見事にそれを証明してくれた
ひとりだ_
確かに、栗山監督が言う通りです。
特に捕るのが上手い選手が
打撃も良くなるその確率が
高いというのはその通りだと思います。
一口に「守備が上手い」と言っても
いろいろタイプがいて、カープで言えば、
例えば矢野は、捕球センスが
良いと言うよりも、身体能力の高さで
やっている選手なので、この理論には
当てはまらないんだと思います。
一方、菊池は身体能力と捕球センスの
両方がものすごく高い選手なので、
この理論に当てはまる。
ルーキーイヤーに.229しかなかった
打率が、プロ3年目にはリーグ2位の
.325まで上がっています。
そして上本も、まさにこの理論に
当てはまる選手ですよね。
まず緒方監督に見出されて一軍に
定着したことで、自信を得た。
そして、2020年までに通算20安打しか
打てていなかった打撃が2021年に開花。
オープン戦でのアピールに成功し、
「8番・センター」で開幕スタメン入りを
果たしました。
佐々岡監督も、「上本=守備固め」という
固定観念を持たずによく抜擢したなぁと
思いますが、これはひとえに、
上本が必死で練習して掴み取った
スタメンの座ですよね。
守備のセンスが良いですから、
打撃面でも元々センスはすごく
高かったのでしょう。
それが開花したということです。