山口のひとりごと。。

「ひとりごと」ですので、「そんな見方もあるんだな」くらいで流してもらえれば。

【M-1】ちょろっと感想と、山田邦子・松本人志・海原ともこ・富澤たけし・博多大吉の審査を分析してみた。

 

M-1、今年も最高に面白かったですね。

 

個人的に好きだったのは、

さや香ヤーレンズマユリカ

カベポスター、令和ロマンの5組でした。

 

この5組は、1stラウンドに関しては

ネタの最初から最後まで引き込まれて

4分間ずっと面白かったなぁと

思いました。

 

さや香は相変わらず

2人のかけ合いが凄かったので、

やっぱり2本目もかけ合いが

見たかったですよね。

 

M-1で勝つということを考えたら、

ネタのチョイスが違うんじゃ

ないかなぁと思いました。

 

ただ、新山さんがああいう

セミナーっぽいことをするくだりは

バラエティでも見たことがあるので、

これが本当に新山さんがやりたいこと

なんでしょうね。

 

このネタをM-1でやりたいという

思いをずっと持っていたんだろうなぁ、と。

 

ただ、ウーマンラッシュアワーみたいに、

王道漫才で優勝してから独自の道に

走る、というのもアリなんじゃないかなと

個人的には思っちゃうんですけど…

 

でも、そうやってM-1で大勝負に出て、

山田邦子さんに「全然良くなかった」って

ど直球で言われて終わるっていうのも、

芸人としては美味しい展開でしたよね。笑

 

 

 

しかし、令和ロマンは中川家以来の

トップバッターでの優勝ですか。

 

最後の審査結果発表で、

ヤーレンズ、令和ロマン、ヤーレンズ…と

交互に票が入っていって、最後松本さんの

票で令和ロマンに決まったのは

すごく盛り上がりましたね。

 

近年の結果発表で1番盛り上がったんじゃ

ないかなぁと思いましたね。

 

 

審査について、昨年に引き続き

山田邦子さんが大御所らしく、

大胆に点数差をつけてきましたね。

 

最低点がシシガシラとモグライダー

87点で、その他のコンビはだいたい

92~93点くらいに収めていますが、

さや香には98点という

ぶっちぎりに高い点数をつけています。

 

邦子さんがさや香に98点をつけたことで

思い出したのが、何年前だったか、

上沼恵美子さんがミキに98点を

つけたことがあったんですよね。

 

この辺は、女性審査員ならではなのかなと

個人的には思いました。

 

ミキにしろ さや香にしろ、

フレッシュさと熱量高く畳み掛けていく

2人のかけ合いを見て、女性の心がグッと

掴まれるっていうのが

あるんだろうなぁ、と。

 

そうなったときに、理論的に

「このボケが良かった」とか

「テクニックが良かった」とか

いうことではなく、「うわぁ!好き!

高得点入れなきゃ!」っていう

気持ちの昂りによって高得点になる。

 

そういう女性審査員ならではの

現象が起こったのかなぁと

個人的には思いました。

 

邦子さんの最高点がさや香の98点で、

次点がカベポスターの94点。

 

これだけ見ると、邦子さんは

しゃべくり漫才を評価してるのかなぁと

思いきや、その次に高得点なのが

ダンビラムーチョの歌ネタなんですよね。笑

 

だから、ある程度スタジオのお客さんの

ウケをとってて、それプラス、

邦子さん自身が純粋に

「面白い!好き!」と思ったところに

点数を入れているんだろうなぁと

思いました。

 

塙さんや大吉さんはめちゃめちゃ

理論的に分析して審査していると

思うのですが、邦子さんはすごく

シンプルに「この子たち面白い!好き!」で

点数を入れている。

 

M-1漫才って「いかに良い作品を

作るか」ってなりがちですが、

本来漫才はそういうものじゃなくて、

脳みそ空っぽで見ても

ゲラゲラ笑えて元気をもらえる、

というものだと思うのでね。

 

それこそ、敗者復活のスタミナパンとか

フースーヤなんて、何も頭を使わなくても

ゲラゲラ笑えるネタじゃないですか。笑

 

ああいうのが本来のお笑いの

役目のような気がします。

 

そういう視点で見てくれる

邦子さんの審査は、それはそれで

1つの正義でしょう。

 

お笑いの見方に正解はないわけなので、

いろんな視点の審査員が居るということが

何より大切だし、女性ピン芸人

唯一天下を取り、今なお舞台に立って

芸をやっているレジェンド芸人ですから、

邦子さんの審査に素人が文句言うのは

ダメですよね。

 

 

それと、邦子さんは去年トップバッターの

カベポスターに84点というものすごく

低い点数をつけて、

「爆笑ではなかった」ということを

言っていましたよね。

 

これ、M-1を深く知っている人だと

「トップバッターは大変だから…」って

ことで甘めに点数を入れがちですけど、

今回みたいに、令和ロマンが

トップバッターでいきなり会場を

盛り上げて優勝するということも

起こりうるわけです。

 

令和ロマンの優勝によって

「トップバッターだからウケなくても

仕方ない」っていう風潮は

薄れていくと思うんですが、

これも結局、トップバッターだからって

甘くしなかった邦子さんが

正しかったということなんでしょうね。

 

逆に、M-1を理解し過ぎていると

「トップバッターはウケない」とか

「掴みが早い方が良い」とかっていう

いろんな風潮に流されてしまいがち、

ということが言えるかもしれません。

 

その辺りをフラットに見ている

邦子さんの視点は素晴らしいと

思いますね。

 

 

 

点差を大きくつけてきた

邦子さんに対して、

松本さんは今年は、例年よりも

大きな点数差をつけず、

冷静に見ていたような印象です。

 

今回、審査員全員が90点台をつけたのが

令和ロマン・マユリカヤーレンズ

真空ジェシカの4組ですよね。

 

そして さや香は7人中6人は

90点台だったのですが、

松本さんだけが89点でした。

 

松本さんのコメントで、

「令和ロマンに90点をつけたが、さや香

令和ロマンを超えてはいなかった」と

言っていましたね。

 

確かに、去年ほどのウケの大きさはなく、

トップバッターであれだけ湧かせた

令和ロマンと比べてどうだったか?という

視点で見ると、さや香をそこまで大きく

評価できない、というのもわかります。

 

その辺り、ちゃんと会場の空気を

自分のものにできているか?とか、

本当に面白いのか?

期待を超えているのか?というのを

ものすごく冷静に見ていたように思います。

 

トップバッターの令和ロマンに

90点をつけて、それを基準に

審査をしたことで、今年の松本さんは

80点台が多めでしたが、

中盤で出てきてしっかりウケた

マユリカヤーレンズ真空ジェシカ

3組には90点台をつけている。

 

今年に関しては、松本さんの審査が

1番、視聴者の感覚に近かったんじゃ

ないかなと思います。

 

 

 

そして、今年から審査員に加わった

海原ともこさんですが、

最高点は さや香ヤーレンズの96点。

 

そして、10組中9位に終わった

シシガシラに対して ともこさんは

92点という高得点をつけていて、

モグライダーにも93点という高得点でした。

 

真空ジェシカよりモグライダーの方が

点数が高かったのは

ともこ姉さんだけですね。

 

個人的には、ともこさんは

漫才のテクニックと

わかりやすさを重視したのかなと

思いました。

 

シシガシラやモグライダーに対して

高評価をしているのは、

シンプルにみんなが理解できるネタ、と

いうところですよね。

 

そういえば巨人師匠も前、

「みんな頭良すぎなんちゃう?」

「もっと単純で良いんですよ。

お客さんに考えさせたらアカン」と

言っていました。

 

ともこさんもそういう視点で、

関西の漫才師らしい審査だなぁと

思いました。

 

やっぱり、関西は吉本新喜劇

代表されるようにバカバカしい

お笑いの方が人気で、

逆に東京はウッチャンナンチャンとか

さまぁ〜ずみたいなクリーンでスマートな

お笑いの方が人気、という風潮は

あるのかなぁ、と思うのでね。

 

 

ともこさんは今回、礼二さんと

点数が似ていて、トップバッターの

令和ロマンには2人とも94点を

つけています。

 

ただ、ともこさんと礼二さんの違いとして、

礼二さんは尻上がりにウケていく構成を

重視するのに対して、

ともこさんは前半にも2、3箇所

ドッとウケるポイントがある方が

高得点になりやすいのかな、と

思いました。

 

令和ロマンよりもカベポスターや

ヤーレンズの方が高得点に

なっているのはその部分なのかな、と。

 

礼二さんは、カベポスター・ヤーレンズより

令和ロマンの方が高得点に

なっていますからね。

 

 

で、カベポスターは審査員全体的に

80点台が多い中、女性審査員の

邦子さんと ともこさんが

高得点をつけていますよね。

 

教師どうしの恋愛という題材が、

ドラマの設定みたいで

女性に対しての方がウケやすい

題材だったのかもしれません。

 

その点、今回初めて女性審査員が

2人入ったというのも

良いことだったんでしょうね。

 

ともこさんは関西の漫才師ならでは、

かつ女性ならではの審査で、

ともこさんらしい視点だったんじゃ

ないかなぁと思いました。

 

 

 

富澤さんは、ヤーレンズマユリカ

高く評価しましたね。

 

トップバッターの令和ロマンが94点、

そして さや香が95点、

マユリカが96点、ヤーレンズが97点でした。

 

富澤さんの点数は、ウケの量と

ものすごくマッチしていますよね。

 

個人的に令和ロマンと さや香

同じくらいのウケで、さや香よりも

マユリカマユリカよりもヤーレンズの方が

ウケていたように感じたのですが、

富澤さんの点数はまさに、

その通りの点数になっています。

 

あと、富澤さんの過去の審査コメントで

「人間味」というワードが

非常に印象に残っています。

 

たしかジャルジャルに対して「マシーンを

見ているみたい」「人間味が出てくると

もっと最強になる」と言っていました。

 

その点、ヤーレンズマユリカなど

キャラがしっかり出たネタに

高得点をつけているのは、

富澤さんならではの視点なのかな、と

思いました。

 

それと、サンドウィッチマン

コント漫才を多くするのもあってか、

富澤さんはマイクの前で

しゃべくりだけっていうタイプのネタより

動きのあるネタの方が高得点になる

印象があります。

 

マユリカヤーレンズはまさに、

動きがあるネタで、舞台を大きく使って

笑わせていたのが富澤さん的には

良かったのかな、と思います。

 

 

 

大吉先生は7人の審査員の中で唯一、

真空ジェシカに最高得点をつけています。

 

そのときの審査コメントで

「今年は新しさを審査基準に入れている」

「これは彼らにしかできない漫才」と

いうようなことを言っていて、

そういう審査をしてくれる

審査員がいるのも嬉しいなぁと

個人的には思いました。

 

対して、マユリカに90点、

ヤーレンズに91点と、

他の審査員と比べて結構低めの

点数になっています。

 

マユリカについては、

大吉先生は「相当緊張していたのか、

間が違う。本当はもっと面白いネタだと

思う」とコメントしています。

 

去年の大吉先生のコメントを見ても、

ウエストランドに「間がおかしい」と

言ったりしていましたよね。

 

大吉先生は、漫才師としての間だとか

所作をしっかり見ているんだなと

改めて思いました。

 

 

また、大吉先生は、ネタの構成、

特に漫才の終わり方を重視する印象です。

 

覚えているのが、2017年大会で

和牛が1本目にウエディングプランナー

2本目に旅館の女将さんのネタを

やったんですが、1本目のネタは

物凄くウケて終わったんですよね。

 

で、2本目はウケた後、もう1くだり

あってから「もうええわ」だった。

 

これがもし、ウエディングプランナー

2本目だったら、あんなに

綺麗に終わるネタはないということで

和牛に入れていたけど、

旅館のネタは終わりが萎んだので

和牛に入れなかったと

大吉先生本人が言っていたんですよ。

 

それで「もうええわ」「リバース!」と

最後に面白いくだりを持ってきた

とろサーモンの方に投票した。

 

その点、今年で言うとヤーレンズ

めちゃめちゃウケたのですが、

最後ドーンとウケて終わり、では

なかったんですよね。

 

大吉先生のコメントは、ヤーレンズ

センスを賞賛した上で

「最後がもったいない。もっと

ドーンと来るかなと思った」と

言っていました。

 

間と所作と、最後の締め方というのが

大吉先生の審査のポイントですよね。

 

 

 

今回、邦子さんが漫才師ではなく、

その他の6人は漫才師という

審査員の構成でしたが、

それぞれ違う視点から審査していて

お笑いって深いなぁと思いました。

 

塙さんのM-1から帰宅直後の

YouTube配信も見ましたが、

塙さんもすごく的確な審査ですよね。

当たり前ですけど。

 

邦子さんのYouTube配信では

「これだけのレベルで技術に差はない。

『ここをこうすれば良かった』というのは

技術ではなく感想であって、

技術よりも面白かったかどうかが大切」と

いう話をしているのもすごく納得しました。

 

また、今年審査員を勇退した

志らく師匠がツイッターで、

さや香の2本目のネタと

敗者復活のフースーヤ

褒めてるのもちょっと面白かったです。笑