山口のひとりごと。。

「ひとりごと」ですので、「そんな見方もあるんだな」くらいで流してもらえれば。

中3刺殺事件に思ったこと① 殺人犯になる前に救う方法はなかったのか

愛知で起きた、中学3年生による

同級生刺殺事件。


この事件で気になったことの1つとして、

校長先生が会見で、容疑者の子について

「おかしな様子はなかった」

「普通の、あるべき姿の中学生だった」

「彼が犯行に及んだことに困惑している」

といった旨の発言をしていました。


要は、グレたりしていない子なのに、

なんでこんなことを

やってしまったのかわからない、

ということですよね。



でも、個人的に思うのが、

生徒指導の先生に目をつけられるような

子っていうのは、まだマシなんですよ。


マシって悪い言い方かもしれないけど、

要は自分の精神状態が普通じゃない、

ということを表現できているので、

ちゃんとグレることができる子の方が

まだ大丈夫なんですよ。


それに対して、今回の容疑者の子のように

大人しくて真面目な普通の子っていうのは

自分の気持ちを素直に表現できないので、

我慢が積もって積もってどこかで

爆発してしまうっていう場合があるんですよね。


だから、この子が本人に直接

「お前ウザいんだよ!」って言えれば

絶対に殺さなくて済んだんですが、

それが言えない子だから

どんどん恨みが自分の中で

大きくなっていったんだろうな、と。


グレてるような子であれば、

ちゃんと「お前ウザいんだよ!」って

言えますからね。


だからむしろ、普通の大人しい真面目な

子の方が、大きな犯罪をしてしまう

可能性は高いっていうことです。





容疑者の子と被害者の子は2年生のときに

同じクラスだったそうなんですが、

いじめの調査みたいなアンケートに

被害者の子に嫌なことをされている、

というのを書いてたみたいですね。


それを受けて、先生は被害者の子に

「人の気持ちを考えて行動するように」

と指導。


その後何回か容疑者の子に対して

「大丈夫か?」と聞いて、

その度に「大丈夫です」と答える

ものだから、もう問題は解決した、

という認識だったようです。




いやぁ、なんでその「大丈夫」を

信用しちゃったのかなぁと思います。


その子からすれば、アンケートに

書くだけでも相当の勇気が必要だったと

思うんですよ。


で、先生が直接被害者の子に指導して

くれたにも関わらず、「いや、まだ大丈夫じゃ

ないです」なんて言っちゃうと

先生を困らせるんじゃないか…


そう思ってしまったんじゃないかな。


それで、本当は大丈夫じゃないのに

「大丈夫」って言っちゃって、

1度「大丈夫」と言った以上は、

その後もそう言い続けるしかない、という。


せっかく勇気を出して

SOSを出したんだけど、

大丈夫と言っちゃったことでまた、

助けの手が閉ざされてしまった、と。


そんな感じじゃないかな、と想像します。




もし自分が先生だったら

この子を救えたのかな、と考えると、

自信ないです。


先生からしたら、本人が大丈夫と

言っているんだから、

これ以上大事にしない方が

良いんじゃないか、という思いも

あるだろうし…




でもやっぱり、そういう子の「大丈夫」という

言葉は信用してはいけないです。


そもそも「大丈夫か?」という聞き方も

ちょっと抽象的すぎるかな、と。


「大丈夫か?」と聞かれたら、

そりゃあ「大丈夫です」って言うもんね。


だから、もっと具体的に

「もうアイツは話に割って入ったり

して来ない?」って聞いてあげるとか、

「他に嫌なことはないか?」って

聞いてげる必要もあると思うし…


「もしまた何かあったらいつでも

言ってこいよ」とか

「俺はお前の味方だからな」みたいな、

そういう言葉もあったら良かったんじゃないか

とも思うし…


とにかく、本当に生徒が心を開けるように、

根気強く愛を伝えること。


それが、先生として必要な資質なんじゃ

ないかな、と思います。




あと、今書いてて思い出したんですが、

自分が小学校の頃、隣のクラスの担任だった

先生がいるんですよ。


その人は後に自分の弟との担任にもなる

先生なのですが、児童同士のトラブルが

あったときに必ず、先生立ち会いのもと、

本人たちが直接話し合う機会を

作っていたんですよ。


それで、「〇〇くんはこういうことを

されたのが嫌だったんじゃないかな」とか

言って、嫌な思いをさせた方の児童に

諭すように話しかけて、

仲直りさせるっていう指導をしていました。


先生がよくやりがちなのは

「いいかお前ら」と自分の言いたいことを

一方的に言って、それで指導したと

勘違いしてるっていう…


でもその先生はそうじゃなく、

ちゃんと児童が納得できるような

話し方をしていた。



そういう指導をしていたら、

もしかしたらあの子を殺人犯に

せずに済んだかもしれませんよね。


恐らく今回の事件は、

嫌なことをされても

嫌だと言うことが出来ず、

不満がどんどん溜まってしまったというのが

原因だと思います。


だとすれば、嫌なことを嫌だと

言えなかったことが問題なので、

そこを打破させるというのも

先生の仕事なのかもしれません。


まずは「そうだよね、それは嫌な気持ちに

なるよね」と同情してあげて、

勇気づけてあげる。


そして、嫌なことは嫌だと直接

言うようにしよう、と。


先生がついてるから、勇気を出して

言ってみようよ、と説得して、

本人に対して不満をぶつける機会を

作ってあげる。


そうやって徐々に、自分の気持ちを

ちゃんと言葉で言うことが

できるように、サポートする。


それも先生として必要なことですね。





今回、アンケートに書いたことに対して

一応、先生は動いてくれているので、

イジメを隠すような学校よりは

何倍もマシですが、

やっぱり指導が不十分だった感は

否めないな、と。


もっともっと生徒の味方で

いてあげることと、

嫌なことを嫌と言えないっていう

その殻を破ってあげること。


それができていれば

大事な命が失われることも、

「普通の中学生」が殺人犯になって

しまうことも防げたんじゃないかな、と

いう気がします。