山口のひとりごと。。

「ひとりごと」ですので、「そんな見方もあるんだな」くらいで流してもらえれば。

【政治】皆に平等にチャンスのある国になって欲しい。

 

「民主主義が一度もなかった国・日本」

という本があります。

 

鳩山政権時代に出された本で、

社会学者・宮台真司さんと、

民主党福山哲郎さんの対談本です。

 

いま、2周目を読んでいるのですが、

この本の中に興味深い内容が

ありました。

 

【宮台】

米国の民主党は「事前的参加主義」です。

同じスタートラインに立てるように、

親世代の勝ち負けが子世代に持ち越され

ないように、高額相続税を含めた

再配分を主張します。

だから、米国の民主党がいう再配分は、

少なくとも理念としては「市場主義」と

矛盾しません。

 

【福山】

なるほど。それを自民党は自覚していない。

子ども手当」や「高校の実質無償化」は、

その機会を平等に確保するための

政策なんです。

 

 

 

お2人とも頭が良いので少し難しい

話に見えますが、宮台さんが言っている

「事前型参加主義」というお話は、

要はみんな平等にチャンスのある

社会、ということだと思います。

 

親がお金持ちであればあるほど

教育にお金をかけられて、

子供はどんどん勉強して安定した職に

就きやすい。

 

一方、親が貧乏な家庭だと

子供は満足に教育を受けられず、

なかなか安定した職に就けない。

 

それは、皆に平等にチャンスのある

社会ではないだろう、という話です。

 

だからアメリカの民主党は、

高額相続税等によって

格差是正を目指している、と。

 

 

 

その宮台さんの話に対して、福山さんは

民主党の「子ども手当」や

「高校無償化」という政策はまさに、

そういう理念に基づいた政策だ、と

いうことを主張しているわけです。

 

福山さんが「それを自民党

わかっていない」と言っていますが、

それはまさにその通りですね。

 

当時の民主党政権の政策には

「バラマキだ」という批判が多かった。

 

自民党丸川珠代さんが「愚か者め!」と

批判している映像も残っていますよね。

 

しかし実際には「バラマキ」というよりは、

親の経済格差によって子供の教育格差が

生まれないようにしたい、という

思いがあっての政策、というわけです。

 

 

で、宮台さんが、その理念は

市場主義と矛盾しない、と言って

いますよね。

 

市場主義というのは簡単に言うと、

お金を稼がないと暮らしていけない

社会のことだと思います。

 

自民党(あるいは、今で言えば

日本維新の会)は特に、この市場主義と

いうのを重視していると思うのですが、

そういう人たちは、「親が頑張って働いて

稼いだお金で子どもを育てる」という

モデルをものすごく大切にします。

 

特に右派の場合は、

昔からの国家観というのを

守っていこう、という思いもあるので、

それも相まって、「社会人は就職して

頑張って働くのが当たり前でしょ?」

というような主張になる。

 

そういう人から見れば、

民主党がやっていることはそれを

否定する、つまり「親が子どものために

頑張って汗水垂らして働く」という

モデルを壊すことになるので、

「愚か者め!」などと汚い言葉を

使ってまで全否定したくなるわけです。

 

 

しかし、現実を見ると、

やはり親が裕福か貧乏かによって

子供の学力に差が出てしまい、

その子供が大人になったときに

お金を稼げる能力に差が出てきてしまう、

という事実はあるのだと思います。

 

そこはやはり、それなりの是正措置は

必要だと思いますね。

 

だからこそ、高校を無償にして

みんなに平等に教育を提供しよう、と。

 

そうすることで、みんなの

スタートラインが一定になる。

 

ただし、一度スタートラインに

立ってからは、市場主義に則って

ちゃんと働いて生活してください、と。

 

全員が同じようにスタートラインには

立てるようにするから、

あとは己の実力で頑張ってね、と。

 

そういう話だと思います。

 

だからこそ「事前型参加主義」と

「市場主義」は矛盾しないのです。

 

 

 

その民主党の理念を継ぐのが、

言うまでもなく、今の立憲民主党です。

 

立憲民主党共産党の違いが

何かと言うと、親の経済格差が

子の教育格差に繋がらないように

したい、というのが立憲民主党の考え方。

 

対して共産党は、そもそも

市場主義を否定する。

 

国民みんなに平等に食べ物だったり

仕事を与える、というのが

共産党の考え方です。

 

自民党にヤイヤイ言っている党」という

視点で見れば同じように見えるかも

しれませんが、立憲民主党共産党

大違いですよね。

 

「金持ちと貧乏の差を是正しよう」と

いうのと、「そもそも『金持ち』という

存在を作らないようにしよう」というのは

全く違います。

 

 

 

ただ、立憲民主党がマズイのは、

財政健全化のことを考えすぎている点。

 

立憲民主党はそういう子育て支援

教育支援をするために、

他の何かを削って予算を回そうとします。

 

そして岸田政権と同じく、

容赦なく増税します。

 

増税してまでも「国の借金」を

減らしていくことを重視する。

 

そこが本当にダメなところです。

 

国債は借金じゃないですからね。

 

 

で、そこをちゃんとわかっているのが

国民民主党です。

 

国民民主党は「増税」ではなく

「子ども国債」によって、国民の負担を

増やすことなく財源を確保し、

子育て支援をします。

 

で、維新も言葉だけ聞けば

子育て支援します!」って言ってて、

なかなか良いなぁと思いがちですが、

維新は先にも言った通り、

市場主義を重視する政党です。

 

なので、維新に任せると、

生産性で人の価値が測られるような

社会になってしまう。

 

あるいは、実際には親が貧乏だから

しっかり教育が受けられず、結果的に

低所得の仕事しかできていないのに、

それを「自己責任」ってことにされる。

 

そういう社会を作られてしまうので、

維新は支持できない。

 

となると、政策本意で1番まともなのは

国民民主党のような気がしますよね。

 

 

 

いずれにせよ、自公政権にはもう少し、

「皆に平等にチャンスのある国」を

作ってもらいたい。

 

子育てや子どもの教育を支援するために

お金を出すのは「バラマキ」では

ありません。

 

必要な投資だと思います。

 

子ども1人あたり1000万円くらい

国が出しても良いんです。

 

その子どもがしっかり勉強して

バリバリ働いて娯楽にもお金を使って

結婚して家庭を持って…となれば、

1000万円をゆうに超える経済効果を

生みますから、どう考えたって

「勝てる投資」です。

 

…いや、「勝てるからやる」のではなく

「必要だからやる」んですけどね。