山口のひとりごと。。

「ひとりごと」ですので、「そんな見方もあるんだな」くらいで流してもらえれば。

ベイスターズ「倉本寿彦」について語りたい。

倉本の魅力は「タフさ」と「勝負強さ」だと
思うんですよ。

タフさというのは、言うまでもありません。

2017年に、ショートという大変なポジションで
フル出場しているわけですから、体は丈夫です。


そして勝負強さ。

チャンスにすごく強くて、2017年には
9番打者で50打点をマークしています。

その勝負強さがどこから来るのかというと
「鈍感さ」です。

勝手な憶測ですが、多分ファンのヤジとかに
何も感じない性格なんですよね。

その「鈍感さ」によって、プレッシャーを
プレッシャーと感じない超人のメンタルが
生まれているのでしょう。



ただ現状、倉本をレギュラーで使うというのは
とてもじゃないけど無理です。

守備は言うまでもなく全然ですが、
ここ2年は打撃も結果を出せていない。

そういう選手を起用するのは難しいです。




ではそもそも、スカウトは倉本の
何を評価したのか。

気になる人も多いと思います。


当時のドラフトレポートを見てみると
「3拍子揃ったバランス型遊撃手」という
触れ込みになっています。

DeNAのスカウトによると、
「(ポジション争いの)勝負ができる内野手
欲しいという中畑監督の意向を受けて指名した」
ということです。


元々堅実な守備が評価されていた上、
大学時代は3割を打っていてミート力は
かなり高い選手でした。

ただ、パワーに欠けるところが
あったのですが、社会人になってから
その課題が克服されてきたので、
DeNAからの指名に繋がったんでしょうね。



「え、元々守備が評価されてたの?」という
疑問も生まれると思います。


そうなんですよね。

多分これは、アマチュアとプロのレベルの
違いから来ているんだと思います。

表現が悪いですが、アマチュアであれば
ショートの守備で少々チンタラしていても
アウトにできるんですよ。

ところがプロになるとみんな足が速いので
チンタラしてたらセーフになってしまう。

カープの小園なんかも、守備がかなり高い
評価をされてプロに入ったのですが、
プロの足の速さに戸惑ってしまって、
デビューから3試合で4失策という
異常事態に繋がってしまいました。


ただ、小園の場合はその後、
いろいろ工夫をして、プロに適応してきました。

これが俗に言う「プロの速さに慣れる」って
やつですよね。

普通はこうやって、だんだんとプロの速さに
慣れていくものです。


ところが倉本の場合、アマチュア時代から特に
成長がないんです。

マチュアで「守備が良い」と評価される
選手は、「プロでやってればそのうち
慣れていくはず」という期待値も込めての
評価だったりするのですが、、、

倉本の場合は全くもってプロの速さに
慣れようとすらしていません。

今まで通りチンタラやっているから
「待って捕って内野安打」とかがすごく多い。

そういったことが、このアマチュア時代と
プロ入り後で守備の評価がまるで違うという
「ねじれ現象」の原因でしょうね。




ここでもう1つの疑問。

ラミレス監督は倉本のどこを
気に入っているのでしょうか?


そもそも倉本が使われるようになった
経緯なんですが、まず倉本の入団前の
ベイスターズはショートが穴だったんです。

守備の上手い山崎憲晴だったり
若手大型内野手の白崎だったり、
候補はたくさんいたのですが、
イマイチパッとしない。

そこで、そういったショート候補たちの
競争に割って入る存在として期待されて
入団したのが倉本なんですよね。

ルーキーイヤーは中畑監督の最終年(2015年)。

期待された倉本は山崎や白崎と併用されながら
一軍で経験を積みますが、打撃面でプロの壁に
ぶち当たり、打率1割台という厳しい結果と
なりました。



しかしその翌年、倉本にとって
絶好のチャンスが訪れます。

ショートのレギュラー候補は倉本の他に
山崎、白崎、ルーキーの柴田といった
あたりでしたが、それらの選手がみんな
ケガやポジション変更によってショートの
レギュラー争いから離脱したのです。

よって、倉本はショート候補の1番手と
なりました。

ラミレス新監督は倉本を
「6番ショート」で開幕スタメンに
起用すると、シーズン通してショートの
レギュラーとして起用しました。


倉本もその期待にこたえます。

前半戦は打率3割をキープし、
筒香の後ろの5番打者を任される時期も
ありました。

最終的には141試合の出場で
打率.294という好成績を残しました。


この活躍でショートの定位置を手に入れた
倉本は、翌年にフル出場を果たします。

繋ぎの9番打者として活躍し、
シーズン3位からの日本シリーズ出場に
大きく貢献しました。


ただ、守備面では足を引っ張る場面が
多かったです。

守備指標「UZR」は2年連続で
大きなマイナスを記録。

守備で足を引っ張っているということが
データにも現れてしまっています。


それでも、「センターラインを固定する」と
いうところに意味がある。

ラミレス監督は、意地になって倉本を
使い続けていた部分もあったと思います。




翌2018年、そんな倉本に強敵が現れます。

阪神から守備の名手・大和が加入したのです。

この大和のショート守備があまりに上手いので、
これまで倉本にこだわっていたラミレス監督の
考えも一変。

倉本は徐々にレギュラーから外されていき、
ついには二軍降格も味わうようになりました。

大和がショートに入ったことで倉本は
セカンドで出場することもあったのですが、
そのセカンド守備で普通のゴロを
内野安打にしてしまうという恐ろしいプレーも
飛び出しました。

さらに、守備だけでなく、これまで
それなりに結果を出していた打撃の方でも
不振に陥りました。

倉本の打撃が悪くなった理由は、
「競争」に弱かったのだと思います。

これまではレギュラー固定されていて、
好不調の波を特に気にしなくて良かった。

それが、競争になって、不調であれば
外されるということになったときに、
不調を短期間で脱却する能力が
ないのではないかな、と。

我慢して使えば最終的にはそれなりの
結果を出せるんだと思いますが、
いつまでも我慢して使ってくれるわけでも
ないということでしょう。


完全にレギュラー争いに負けた倉本は
現在、1.5軍くらいの立ち位置になっています。

基本的には二軍に幽閉されていますが、
とはいっても経験値のある選手なので、
順位争いが熾烈なシーズン終盤には
打席を与えられることもあります。


ただ、ラミレス監督はまだ倉本を
見捨ててはいないようです。

今年のシーズン終了後の秋季キャンプでは
倉本の打撃を高く評価。

ラミレス監督が倉本の打撃面に寄せる期待は
大きいのでしょう。


まぁ、どのポジションで使っていいのかは
わかりませんが、敵目線で見ると
なんやかんやでピンチで迎えると
嫌らしいバッターなんですよね。

2年ほど前に、カープの岡田があと1人
抑えれば完封勝利ってところで
倉本に同点タイムリーを打たれたシーンを
よく覚えています。

「やっぱり倉本はチャンスに強いな」と
思いました。


経験豊富で勝負強い倉本が一軍に常時いれば
DeNAも優勝に近づくと思います。

ステータス的に良い選手かどうかは
わかりませんが、とにかく倉本は
不思議な力を持った選手で、優勝のために
欠かせない戦力のような気がします。