被団協がノーベル平和賞を受賞し、
核廃絶への機運がまた高まっていると
感じます。
核廃絶、実現して欲しいなぁと
思います。
「核の復権」を読んでいると、
ロシア・ウクライナ戦争では
核抑止が機能していると
書いてありますね。
ウクライナのゼレンスキー大統領は
欧米に武器の支援をして欲しいんだけど、
そこでプーチンが核をちらつかせることで、
核戦争に発展させたくない欧米としては
武器支援をある程度のレベルで
抑えざるを得ない。
そして、ロシアと欧米の駆け引きの中で、
どうやらプーチンとしては
ロシア領内に入り込んでの攻撃を
して欲しくないんだな、という
レッドラインが見えてきた。
だから欧米としては、そのレッドライン
ギリギリの支援に留まっているわけです。
全面戦争になっては困るので、
いくら欧州各国がウクライナを
支援していると言っても、
そういう国に対して攻撃をすることもなく、
ウクライナへの攻撃だけに留まっている。
だから、ウクライナを通常戦力で
攻撃するロシアと、
それを防衛するウクライナというところで
収まっているわけですよね。
つまりは、プーチンは欧米の核を恐れ、
欧米もロシアの核を恐れていることで、
かろうじて戦争のエスカレートを
抑えることができている。
そう考えると、「核抑止」が
働いているというのも一理あると思います。
ただ、この本が出たのは去年10月です。
そこからの1年間で何が起きたかと言えば、
まずバイデン大統領が、
アメリカが供与した兵器で
ロシア領内を攻撃することを認めた。
そして今年の夏、
ついに「レッドライン」を越えて、
ウクライナがロシア領内への奇襲攻撃を
仕掛けました。
これに対してプーチン大統領は
「核保有国の支援を受ける
非核保有国から攻撃を受けた場合、
核保有国との『共同の攻撃』とみなす」
と表明しました。
もらった武器を使用してロシアを
攻撃すれば、それはアメリカからの
攻撃と同じだとみなす、ということ。
そうなるとより戦争の規模が大きくって、
核使用の可能性が高まる懸念が出てきます。
外交・安全保障に詳しい宮家邦彦氏は
今年8月のテレビ番組の中で
「停戦は、当事国が『負けるかも』と
思ったとき、初めて真剣に考えること」と
言っています。
これは本当にその通りで、
最初のうちはロシアとウクライナの戦いが
拮抗していたとしても、
その拮抗を打ち破るために
いずれ戦いがエスカレートするのは
必至ですよね。
そうなると、最終的に行き着く先は
やっぱり「核」というカードに
なってしまい、核を持っているロシアに
持っていないウクライナが
勝つ方法は無くなってしまうと
いうことなんだろうと思います。
恐らくプーチンが「降伏しなければ
明日ウクライナに核を打ち込む」と
言ってしまえば、欧米各国はもう
どうしようもありませんからね。
負けを認めざるを得ません。
となると、やはり核を持つ国の方が
核を持たない国よりも
強いということになるので、
やはり「核抑止力は必要」という
結論になるんじゃないかな、と
個人的には思います。
結局ゴールは、
「核を持つロシアが核を持たない
ウクライナの領土を奪った」ということに
なってしまうわけですからね。
そもそもなんですけど、
「核抑止によってロシアとウクライナの
戦争が拮抗している」と言っても、
拮抗しているということは
それだけ戦争が長引いて多くの死者が
出るということでもあるし、
そもそも「戦争を起こさない」という
抑止力は働いてないじゃないかって
話になります。
ウクライナが核を持っていたら
この戦争は起きたのか?ということ。
ここを日本はよく考える必要があって、
日本の平和の基軸だという現実を
しっかり認識する必要がある。
つまり、何の条件もなしで
「核をなくそう!」と言っていては、
平和は守られないということなんだろうと
思います。
核の恐ろしさを知り、
核廃絶への理想を求め続けることは
必要ですが、当時にやっぱり
世界情勢を現実的に考えるということも
必要でしょうね。